慢性疼痛について
慢性疼痛とは
慢性疼痛とは痛みが3か月以上続く場合や、痛みの原因となった怪我や病気がなくなった後も1か月以上痛みが続く場合、数か月以上にわたって再発と消失を繰り返す状態のことを指します。
「痛み止めは身体に悪い!」とか 「あまり薬を内服するのが好きじゃない」などの理由で痛みを我慢してしまう方がいらっしゃいますが、痛みを我慢しているうちに痛みになれるどころか、だんだん痛みに対する抵抗力がなくなっていき、かえって痛みに過敏になってしまうことが知られています。
一旦痛みを感じると神経や血管に刺激が伝わる→血管や筋肉が収縮する→血流が悪くなり痛みの原因物質が蓄積する→痛みがますます増悪する→というような「痛みの悪循環」に陥ってしまいます。
悪循環に陥らないよう早めに痛みを軽減させていくことが重要です。
痛みの伝わり方について
通常、身体のどこかで炎症など痛みを感じるような刺激が発生すると、その刺激は脊髄から脳へと伝わり、脳がその信号を受け取ると”痛い”と認識します。
痛みの信号を受け取った脳は「痛みを受け取ったよ」と痛みが伝わってくるのを抑えるような信号を出します。
これが痛みを抑える回路、「下降抑制」と呼ばれる作用です。
下降抑制により脳が過剰な痛みの刺激から守られていると考えてください。
慢性疼痛では…
しかし痛みの刺激が長くにわたって脳に伝わり続けると、下降抑制の作用がだんだん弱くなってきてしまいます。
運転をされる方なら理解できると思いますが、ちょうどブレーキをかけ続けてブレーキが利かなくなってしまったような状態と考えられます。
下降抑制が弱まることで痛みの刺激が過剰に伝わる状態となり、「痛みに過敏になってしまった状態」となります。
慢性疼痛治療薬
慢性疼痛治療薬であるデュロキセチンはこの弱くなってしまった下降抑制を復活させる作用があります。
急性期の痛みの方がデュロキセチンを内服しても効果はありません。
ある程度長期間内服を続けることで次第に元通りの痛みを抑える力が戻ってくると考えられています。
副作用としては眠気や吐き気などを感じる方がいらっしゃいます。
また前立腺肥大の病気をお持ちの方は尿の出が悪くなることがあるため注意が必要です。
眠気や吐き気については内服しているうちに軽減してくることが多いため、可能ならばしばらく継続して内服していただくことをお勧めします。
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