痛風について
痛風とは
痛風とはその名の通り、風が当たってもつらいほどの痛みがでる、関節や腱の周辺などが腫れて炎症を起こす疾患です。
痛風の原因となるのが尿酸です。
尿酸は体の中で絶えず作られ、尿や便の中に排泄されます。
何らかの原因で体の中の尿酸が増えてしまった状態が”高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)”です。
高尿酸血症には3つのタイプがあります。
①尿酸が過剰に産生されるタイプ
②尿酸の排泄が滞るタイプ
③①と②の混合タイプ
④腎外排出が低下するタイプ
6割程度が②のタイプと考えられています。
痛風の症状
高尿酸血症の状態が続くと、血液の中に溶けきれなくなった尿酸が、関節などに結晶として析出します。
結晶は関節の中の軟骨表面や滑膜という組織に沈着していきます。
激しい運動をしたり、脱水や暴飲暴食などで急激に尿酸値があがると、沈着した尿酸結晶が関節の中に散らばります。
関節内に尿酸結晶(=異物)が散らばると、”白血球”という免疫を担当する細胞が「敵がきた」と判断して飛んできて、これを駆除しようとします。
この”戦い”が痛風発作という状態です。
激しい炎症が起こるため関節は赤くはれて熱を持ち、強い痛みをかんじます。
発症部位としては足の親指の付け根が多く全体の7割ほどを占めます。
足の親指以外にも肘や手首、膝や足首、アキレスけんの周囲やかかと・くるぶしの周辺など様々な場所で発作が起こりえます。
関節周辺が赤くはれて熱を持っている場合は、まず第一に痛風発作を考えます。
30〜40歳代の男性に多く見られます。
女性は女性ホルモンが尿酸の排泄を促す作用があるため痛風になりにくいといわれています。
このため、女性でも閉経後女性ホルモンが減少すると尿酸値が上昇し、痛風発作を起こす可能性が高くなります。
痛風の治療
自宅で突然関節が腫れて強い痛みが出てきた場合には
何か痛み止めの内服があれば使用しましょう。
熱を持っている場合は冷やすのが効果的です。
氷嚢や保冷剤などを利用して局所を冷やします。
入浴や飲酒など、血流がよくなるような刺激は痛みを増強するためなるべく避けた方がよいでしょう。
そのうえで早めに医療機関を受診してください
食事療法について
以前は尿酸の元となるプリン体を多く含む食品を避けるように指導されていましたが、最近では総カロリーを押さえるような指導にかわってきています。
極端に肉などをとらないようにするよりは、バランスよく栄養をとり、総カロリーを抑えることが大切です。
飲酒については以前はビールを避けて焼酎などの蒸留酒を勧めていましたが、飲酒そのものが尿酸排泄を滞らせ、尿酸値を上昇させることが明らかになりました。
このため、過剰なアルコール摂取は避けた方がよいでしょう。
尿酸値への影響を抑えるには、1日に日本酒なら1合、ビールなら500mg、ウィスキーでは60ml程度を目安にするとよいといわれています。
内服治療について
痛みが強い時には局所を安静に保ったうえで、積極的に痛みや炎症を抑える内服をします。
歩くのが困難な場合には松葉杖を使用することもあります。
局所を冷やすことも有効です。
発作中に尿酸値を下げる薬を使用すると、かえって発作がひどくなることがあります。
炎症や痛みが治まったのちに、発作を繰り返す場合や尿酸値が8mg/dlを超えている場合などには尿酸を下げる薬を内服します。
尿酸を下げる薬を用いて、尿酸値を6mg/dl以下に保つ必要があります。
6㎎/dl以下の状態が保たれると、関節内に貯まった尿酸の結晶は次第に溶けて血中に戻っていきます。
おおよそ2〜3年程度内服を続けると、たまった結晶がほぼ消失するといわれています。
まずはこれを目安に内服を続ける努力をしてみましょう。
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