女性ホルモンと手の疾患について
女性ホルモンとは
女性ホルモンは卵巣(らんそう)という場所で作られるホルモンで、エストロゲン(卵胞(らんほう)ホルモン)とプロゲステロン(黄体(おうたい)ホルモン)の2種類があります。
月経周期や妊娠・出産に大きく関与するホルモンですが、これらが手の疾患と大きく関与することが分かってきています。
これらの女性ホルモンが不安定になる時期として大きなものが妊娠・出産期(周産期)と更年期です。
妊娠・出産期に起こる変化
妊娠・出産期には、妊娠を継続させる働きをする、プロゲステロンの分泌が多くなります。
手の周辺には指を動かす腱(けん)という組織があります。
腱が浮き上がるのを防ぎ、滑らかに動くための滑車のような役割をする、靭帯のトンネルのようなものが腱鞘(けんしょう)です。
プロゲステロンには腱鞘を収縮させる作用があるため、このホルモンの増加により腱の通り道が狭くなり、腱の滑走が悪くなって、炎症を起こしやすくなります。
更年期に起こる変化
一方更年期にはエストロゲンが低下します。
エストロゲンには組織を滑らかに保つという作用があるため、この働きが低下すると腱や腱鞘、神経の周りにある滑膜(かつまく)というところが炎症を起こして腫れやすくなります。
また、軟骨の滑らかさが少なくなり、軟骨がすり減りやすい状態になると考えられています。
軟骨がすり減ると関節の安定が悪くなり、周辺の骨が変形を来し、痛みを感じるようになります。
女性ホルモンと手の疾患
女性ホルモンが不安定になり起こる代表的な疾患が
腱鞘炎(ドケルバン病やばね指)
手の周辺の変形性関節症(へバーデン結節、ブシャール結節、母指CM関節症)
手根管症候群(正中神経という神経の通り道が狭くなって起こります)
です。
くわしくはこちら
【ドケルバン病について】
【ばね指の診断、治療について】
【へバーデン結節、ブシャール結節とは】
【母指CM関節症について】
【手根管症候群について】
をご参照ください。
有効なサプリメント
更年期のドケルバン病の予防や症状の軽減として、女性ホルモン(エストロゲン)によく似た構造をもつ、「エクオール」というサプリメントが有効という報告があります。
エクオールは大豆に含まれる「イソフラボン」から作られたもので、弱い女性ホルモン類似作用を持っています。
エクオールを摂取することで腱鞘炎の腫れや痛みを予防したり、軽減したりする作用が得られるといわれています。
大豆を多く摂取することで同様の効果が期待できますが、日本人女性の二人に一人は体内でエクオールを作り出すのに必要な酵素を持っていないことが分かっていますので注意が必要です。
エクオールのサプリメントは当院でもご購入いただけます。
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